KenMiki & Associates

喜びをリレーする

つい最近、事務所のスタッフに子どもが誕生しました。少し落ち着いた昨日、「親になってどう?」と尋ねたところ「妙にみんなに感謝したい気持ちになりました」と、返事が戻ってきました。なんだか、とても誠実でピュアな言葉だと思いませんか。僕がずいぶん前に新米の親になった時にも同様の謙虚な気持ちになったことが蘇ってきました。生まれてきた赤ちゃんと、頑張った奥さんへの「感謝の気持ち」に加え、無事誕生するまでの幾ばくかの不安が消えた安堵な思いや、これから親として責任を持って育てる決意など、いろんな思いが入り交じって「妙にみんなに感謝したい気持ち」と、なったのではないかと思われます。
デザインをするということは、どこか自分の子どもが生まれる時のような気分で、決められた時間までに上手くアイデアが定着するだろうかと心配したり、運良く自分の思い通りのデザインが採用されても、社会の多くの人に共感してもらえるだろうかと思いにふけったりします。また、一方で、すごい才能と自画自賛して「ルンルン」とした気分になったりもします。親バカとでもいうか、完成した自分のデザインを何度も引き出してニンマリすることもあります。いろいろな理由で自分のデザインが姿を消しそうになると、とても悲しくなります。といったような訳で、僕は「一期一会」の感謝の気持ちで、与えられたテーマには自分の脳が飛び出すほど考え尽くしてデザインを進めるように心がけています。デザインを受け取った方がそのデザインを次の誰かに思わず届けたくなるような「喜びをリレーする」デザイン。
それが僕の理想とするデザインです。