KenMiki & Associates

サイン

ある工場のサイン計画を進めることになって現状視察に出かけたのですが、いたる所に品質管理のための注意事項やマニュアルなど、壁面がすごい情報量で埋まっていました。工場案内をしていただいた方が複数の同業他社の工場を見学した経験があるとのことで、「情報が明解に整理された、しっかりしたデザインのサイン計画の事例をご覧になられたことがありますか?」と尋ねたところ、「おしゃれなサインの工場は、あまり見たことがありません」という返事が戻ってきました。「おしゃれなサイン」という言葉に驚いたというか「おしゃれ=デザイン」という認識に、まだまだデザインの本来の目的や価値が一般に浸透していないんだと気づかされました。
サイン計画は「計画を記号で表す」ことで、単に表面を飾り立てることではありません。目的に向かって間違いなく移動できることや効率を追求し無駄をなくすこと、安全で安心して働ける職場環境を実現することなど、生産現場のあらゆる問題を抽出して、生産基盤や経済基盤をしっかりと組み立て、その解決を行うために工場のインフラにともなって実施するものです。思うに施設の案内をしていただいた方にとっては、おしゃれな服、おしゃれな家具の延長線上に「おしゃれなサイン」が、あったのではないかと思われます。
デザインを定義づければ「目的に向けて計画を立て、それぞれの問題解決のために概念を構築し、視覚や触覚など人の五感や感情までもを意識して表現をすること」だと思います。
designのスペルの中にしっかりsignという言葉があるように、サインはまさにデザインと寄り添っているのです。