KenMiki & Associates

日本の美「琳派、浮世絵版画から現代へ」

世界ポスタートリエンナーレで世界中のデザイナーから注目される富山県美術館のポスターやカタログなど、美術館のデザインを担当することになりました。
長年に亘り永井一正さんが制作し、佐藤卓さんへと引き継がれたバトンを受け継ぐことになったのですが、これが予想以上に重く腕がこわばりリズミカルに動きません。先人のバトンを受け継ぎ軽快に走るには腕の振りがしっかりと動かねばなりません。いかに軽やかな発想をするかが僕に託されたバトンだと考えデザインを始めたのですが、鉄の鉛筆で描くようにアイデアが硬直してしまい思うように描けません。それに加えて、僕に与えられた最初の課題が『日本の美「琳派、浮世絵版画から現代へ」』という展覧会内容。鼻歌を歌うようにデザインを試みるのですが、鉄の鉛筆に重厚な日本の美の文化が重なり、まるで鉄アレイの鉛筆へとさらに重くなって身動きができません。ある日、琳派の創始、俵屋宗達の「風神雷神」や浮世絵の東洲斎写楽や喜多川歌麿の絵を眺めていたら、ギョロ、ジロッ、シラッ、トローンとした目で僕を眺めているように感じるではありませんか。この目だけを取り出してみると、「なんてポップなんだろう。日本のアニメや漫画や現代美術へと繋がる文化が垣間見られるのでは?」と思えたのです。あらためて永井一正さんのポスターを見つめてみると、その目にも日本文化が脈々と受け繋がれているではないですか。この瞬間、鉄アレイの鉛筆が、まるで風のような鉛筆に変わる感覚になりました。いたずらで目が瞬きするビジュアルを作ってみたら「みんな驚くだろうな」と思えた瞬間、こんなポスターが出来上がりました。
展覧会を観に出かけたらあなた自身が見つめられている。みなさ〜ん。富山県美術館へどうぞお越しください。


RedBlink_H764

BlueBlink_H764

赤いポスターの目 : 東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」
青いポスターの目 : 上から東洲斎写楽「谷村虎蔵の鷲塚八平次図」・豊原国周「源よしつね 尾上菊五郎」・喜多川歌麿「青樓七小町 若那屋内白露」・俵屋宗達「風神雷神」・永井一正「富山県美術館キャラクター『ミルゾー』」


日本の美「琳派、浮世絵版画から現代へ」
会 期:2019年8月10日(土)~2020年10月20日(日)9:30‐18:00
休館日:毎週水曜日、祝翌日
会 場:富山県美術館
主 催:富山県美術館、北日本新聞社、北日本放送

https://tad-toyama.jp/news/8177
https://tad-toyama.jp/exhibition-event/8041