KenMiki & Associates

子どもの頃、漢字の覚え方で「イチ、クチ、ソ、イチ、イチ、ノ、メ、ハ」で『頭』という漢字になるというのを亡くなった父に教えてもらったことがあります。
「一、口、ソ、一、」で豆,「一、ノ、目、ハ」で頁。豆と頁で『頭』という訳です。『頭』という漢字を見つけると、今でも鼻歌まじりで「イチ、クチ、ソ、イチ♪♪♪…」と嬉しくなります。先日、知人の母親が米寿(べいじゅ)を迎えるというので年齢とその呼称について語源や由来を調べてみたら、米寿は、数え年の88歳のお祝いで「米」の字が八十八と分解出来ることからとありました。米寿の語源は、何となく知っていたのですが、99歳の白寿(はくじゅ)が「百」の字から一をとると白になるからとか、108歳の茶寿(ちゃじゅ)が「茶」の字を分解すると「十、十、八十八」と分解できるためとか、111歳の皇寿(こうじゅ)が「皇」の字を分解すると「白 (=99)、一、十、一」と分解できるためとあるではないですか。漢字を分解する発想に遊び心があるというか、粋な見立てに国語と算数が一緒になったような楽しさがあると思いました。僕のデザインの発想の仕方は、テーマの根源にある価値を見つけ、それをじっくり観察した後、一度「分解」して再構築や再編集をしながらコンセプトを見つけていきます。子どもの頃の『頭』の漢字の覚え方が、今のデザインの発想の仕方とどこか繋がっているように思います。

ガウディ

この不思議な造形物、いったいなんだと思われますか。
ずいぶん前にバルセロナに行った時に見つけたガウディのドアノブなんです。ガウディが設計したアパートメント『カサ・ミラ』にこの種のデザインが今でも使われていて、それを限定で復刻したのがこのドアノブです。
長い間、文鎮として使っていたのですが、いつの間にか引き出しの奥で眠っていて、数年前に事務所を引っ越した際に打ち合わせ室の小さな扉に取り付けました。真鍮で出来ていて磨くとピカピカになるんですが、バルセロナのアパートメントの使い込んだ真鍮のイメージそのままに、磨かずにおいてあります。何か生き物のようなすごいフォルムですが、手にフィットして使い心地も申し分ありません。
ドアノブひとつにもオリジナリティを求めようとしたガウディの気概に負けまいと、打ち合わせ中に難題を持ちかけられた時は、こっそりこのドアノブを見て勇気をもらいます。

掃除

三木健デザイン事務所では、水曜日と金曜日の朝、週に二回の「中掃除(ちゅうそうじ)」があります。大掃除ほどではないですが、スタッフ全員で床までゴシゴシと雑巾で磨きます。
もちろん僕も参加してゴシゴシやります。たっぷり、1時間以上かけての掃除です。夏場は、汗びっしょりになって着替えが必要なぐらいです。決して掃除好きではありません。綺麗にすることで気持ちがいいのはもちろんですが、働き方がすごくスムーズになるんです。効率がいいとでもいうか、何もかもがテキパキと動き始める感じです。腕のいい料理人の綺麗に片付けられた調理場や、高品質な商品を生み出す工場の整理整頓された環境に憧れます。
いい仕事をする所は、どこも足元が綺麗に片付いています。


札幌ADC

連休の3日間、札幌ADCの審査会に行ってきました。
審査員は、柿木原政広さん、左合ひとみさん、松下計さん、松永真さん、三木健の5人に昨年の札幌ADCグランプリの長内泰代さんと準グランプリの鎌田順也さんが加わって7人の選考です。今年のグランプリには、岡田善敬さんのオリジナルフォント「オバケ!ホント?」の一連の作品が満票で輝きました。この作品「オバケのQ太郎」が文字に化けたような愛くるしさがあり、審査員全員があまりのセンスの良さに「手も足も出ない」と感じるほどでした。
グランプリ決定後のあいさつで声を詰まらせた岡田さん。この仕事、彼のお父さんが亡くなられた中、無我夢中で制作したものと分かり感動の拍手が会場から鳴り止みませんでした。
新人賞にもドラマがありました。規約では一人と定められていたようですが、あまりにも力が拮抗していて二人が選ばれました。なんと、そのうちの一人が以前に松永真さんの事務所に少しだけいて三行半を突きつけられた若いデザイナーだったんです。壇上にその人が上がった時の松永さんの驚きようといったら、まるで腰から崩れるかのようでした。
しかし、そこが松永パワー、彼にデザイナーの火をつけたように思います。あいさつで松永さんの送ったエールに本人がとても感動していました。こんなにドラマチックな公開審査に遭遇する訳ですから会場にいるみんな大興奮です。
等身大の人たちが、いろんな人生を抱えながら、がんばった結果、賞に選ばれるんですから、ここに参加した全員が何らかのカタチで刺激を受けたことと思います。
最近、富みに札幌から優秀な人材が現れる理由がここにきてやっと分かりました。ローカルでしっかりとデザインを耕していたら、気づいたら世界のデザインが近づいて来る。
そんな光景が浮かぶ札幌ADCでした。


「話すデザイン」スタート

今日からブログをはじめます。三日坊主にならないようにのんびりやっていきます。
楽しい話、うれしい話、ときめく話、「話すデザイン」スタートします。