KenMiki & Associates

「話すデザイン ⇄ 聞くデザイン」 福島治 × 三木健

昨年、大阪のdddギャラリーで開催された『明日のデザインと福島治』展のトークショーの様子をYouTubeにUPしました。福島治さんのソーシャルデザインの活動を聞きながら、即興で内容を編集していくちょっと風変わりなトークショーです。通常、対談をするとなると事前に概要を聞いたり、資料を見たりなど、何らかの心づもりをするものですが、この時は、事前の打ち合わせで福島さんから内容を全く知らされず、何の準備をすることもなく現場でのアドリブで話すことに…。
「大丈夫だろうか?」と心配する僕に、福島さんは「先に内容を伝えると対談の醍醐味がなくなるから」と…微笑みながら何も話してくれない。「うへ〜。どうしよう」と思いつつ、「それだったら、でっか〜いメモ用紙を準備して即興でレジュメを書くってのどう?」と自らを追い込むようなチャレンジな発言をしてしまった。ギャラリーの方も福島さんも「それ、面白い!やろう、やろう」と即決定。
そこで、『手動式ロール大判メモ機』なるものをギャラリーに作っていただくことに。大層な名前ですが、ロール紙を準備してもらい、紙幅に合わせた壁をつくり、後ろにスタッフを座らせ、紙を引っぱるローテク装置です。その時に書いたメモが下記の図。
『ソーシャルデザイン』という、一般的にまだよく理解されていないデザインの領域のことをできるだけ分かりやすく伝えるために、福島さんのレクチャーを噛み砕くのが一番の狙い。とはいえ、福島さんからどんな話が飛び出すのか、また、自分がそれを上手く咀嚼できるのか。「いゃ〜」、不安が一杯のまま、本番を迎えることに。ドキドキしながら会場についた瞬間、「そうだ、『聞くデザイン』。日頃、クライアントや学生達の話を聞き、それを素地にしながら情報を現場で組み立てるのが僕の仕事のやり方。とことん聞いて、すばやく情報を整理すれば、そこに伝えたい本質が浮かび上がるのでは…。うまくファシリテーションできなくても、会場に助けを求めるように情報を開けば、きっと誰かが上手く繋いでくれるだろうと大雑把に納得。もし、もたもたしてもライブということで許してもらおう」。と、腹を据えて挑むことに。どんな内容になったかは、映像を見てのお楽しみ…。「対談そのものをデザインする」。これ、2003年の世界グラフィックデザイン会議で福島さん達と行った「会議そのものをデザインする」を発展させた『話すデザイン』。ドキドキしたけど無茶苦茶、楽しかった。福島さんや会場の仲間に助けてもらいながら、何とか終了。「ふ〜」。


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「話すデザイン ⇄ 聞くデザイン」 永井一正 × 三木健

2013年の夏に開催された『LIFE 永井一正ポスター展』のトークショーで永井一正さんと対談をさせていただきました。1時間30分以上に及ぶ長時間の映像をノーカットで公開します。
デザインの黎明期から現在に至るまで、常にトップランナーとして走り続けてこられたデザイン界の巨匠へのインタビューです。半世紀に亘る永井一正さんのデザイン人生を駆け足で巡る記録です。1950年代初頭の大阪時代のAクラブ、1962年の国旗に対する提案、1964年東京オリンピックから1972年札幌冬期オリンピック、さらに1975年沖縄海洋博覧会などの国家事業とデザイン、それに関わった日本デザインセンターの役割、1987年の抽象から具象へと移行した大きな転換期、唯一自分の絵を使用しなかった1987年のヒロシマアピールズ、そしてLIFEへ。時代の検証と一人の作家の思想と哲学を垣間みることができます。


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