KenMiki & Associates

BARの片隅で野井さんの話に聞き耳を立てながら…

中之島デザインミュージアム de sign de > の『野井成正の表現ー外から内へ/内から外へ』の『気づき場』で開催されるトークショーの第2回目は、河﨑晃一さん(兵庫県立美術館企画・学芸部門マネージャー、館長補佐)と御大、野井成正さん。「空間」「居心地」をキーワードに、旧知の二人が制作の裏話や秘話を含めて語り合うとか…。河﨑さんは、現代美術作家としても活動されている方で、先日ちょっと立ち話をした時の内容をここで喋っちゃいます。二人の秘話の予告編ということで…。まずは河﨑さん「このトークショーのために二人で2回飲みにいったんだけど、『まあ、なんとかなるって…』といって野井さんとは打ち合わせにならんのですよ…。こっちは、一応考えてるけど、野井さんとの対談やからな…。まあ、難しいこといっても『空気や…呼吸や…まあ、飲め!』やし…。何とかしますけど…」だって。その後、野井さんに「河﨑さんとどこで知り合ったの?」と訪ねてみると「芦屋のジャズ・バー『レフトアローン』の移転前の店。お金がなくて、白いテントを屋根代わりにした建て物だったんだけど、ある日、河﨑さんが大きな赤いリボンを屋根にくっつけて、それから…」「テントからすぐ雨が漏れ、アドリブを効かさないと成り立たないジャズセッションのような空間やったけど…。そのリボンのバランス悪いな、と文句言ってたら、なぜか仲良くなった。そのリボン、そのうち朽ちて落ちたけど…(笑)」だって。このゆるい感じが旧知の仲っていうやつだろうか?
下記に掲載した二人の対談用のポスター、野井展のシャープなタイポグラフィをちょっと空かして、ゆる~く仕上げてみました。事務所のスタッフに「こっちのほうが展覧会のポスターより好きです。三木さん若い感覚ですね!」なんていわれて、嬉しいやら悲しいやら…。でも、野井さんとお酒を飲んでて、酔っぱらって来たら「こんな感じだろう」なんて想像しながら作ったポスターだから、野井さんの柔軟な若さが表現できてれば「ヨシ」だと思い、このデザインに決定。河﨑さんと野井さんのトークショー。BARの片隅で聞き耳を立てながら聞くって感じでみなさんご来店くださいね!


中之島デザインミュージアム de sign de > talk
「野井成正の空間づくり」
野井成正(空間デザイナー)× 河﨑晃一(兵庫県立美術館 企画・学芸部門マネージャー、館長補佐)
2011年5月13日(金)18:00-20:00(参加受付は17:30から)
参加費:1,000円/1ドリンク付き
定員:40名
会場:中之島デザインミュージアム de sign de >
大阪市北区中之島5-3-56 中之島バンクスEAST
Phone.06-6444-4704 Email:info@designde.jp http://www.designde.jp


de sign deできること

中之島デザインミュージアム de sign de > の『野井成正の表現ー外から内へ/内から外へ』の『気づき場』で開催されるトークショー。多彩なゲストを迎える第1回目が、建築家・宮本佳明さんと空間デザイナー・間宮吉彦さんの対談。テーマが『de sign deできること』。宮本さんといえば、阪神淡路大震災で実家が全壊され、復興のシンボルとなるような強いメッセージを込めて元の建物を再生し『「ゼンカイ」ハウス』という構造をむき出しの建築で多くの物議を交わした方。その『「ゼンカイ」ハウス』に自らの事務所を構え、強いメッセージ性のある建築を提案し続ける気骨のある方。ジャン・ヌーベルが絶賛したというこの建築が多くの建築家に刺激を与えたのはいうまでもありません。その宮本さんを迎えて、 de sign de > のコミッティメンバーであり、野井成正さんに教えを受けたこともある間宮吉彦さんがどんな対談をするのか?ちょっとドキドキしてきました。というか真剣に向かい合わねばなりません。
下記に掲載したポスターは、宮本さんの『「ゼンカイ」ハウス』の構造をシンボリックにアイコン化し、東日本大震災の3.11と阪神淡路大震災の1.17に共通する『11』を重ねることでこの大きな震災を体験した僕たちが「広くデザインで何が出きるか」という問いを投げかけたいと考えました。また、お二人の対談日の5月11日が、東日本大震災から偶然にも2ヶ月目だということにもこの対談の意義を深く感じずにはいられません。『de sign deできること』を野井さんの『気づき場』で議論する。気づきに気づくトークショー、先着順で要予約とのこと。議論の後は『たまり場』でさらに議論をする方もいれば、飲み崩れる方もあり…。
みなさん、 de sign de > のトークショーで連休明けにお会いしましょ。


中之島デザインミュージアム de sign de > talk
「de sign deできること」
宮本佳明(建築家)× 間宮吉彦(空間デザイナー)
2011年5月11日(水)18:00-20:00(参加受付は17:30から)
参加費:1,000円/1ドリンク付き
定員:40名
会場:中之島デザインミュージアム de sign de >
大阪市北区中之島5-3-56 中之島バンクスEAST
Phone.06-6444-4704 Email:info@designde.jp http://www.designde.jp

3つの「場」の展覧会

中之島デザインミュージアム de sign de > の開館記念展『野井成正の表現ー外から内へ/内から外へ』が始まりました。野井成正さんは、商業施設の中にランダムな線や面で構成されるインスタレーションを組み込むことで空間にズレや重なりを作り、密度の異なる「間(ま)」によって不思議な時間を生み出すデザイナーです。空間を通してヒトとヒトが出会い、そこにヒトとコト、ヒトとモノの関係性が生まれるデザインを考えてこられたのだと思います。
今回の展覧会では、間伐材を使い開発した独自のユニットシステムで自由に空間をつくり出し、素材をいためず元通りに復元できる仮設空間や、竹を使った独創的なインスタレーションと壁いっぱいに描かれたドローイングが刺激し合う野井ワールドが展開されています。野井さん曰く「竹を通り抜ける人によって竹が揺れ、時にぶつかり音が鳴る、そこに偶発的な場が誕生してコミュニケーションが生まれる」とのこと。ここは身体感覚を開く『気づき場』として位置づけられているようです。その他に『まなび場』『たまり場』といった『BAR[場]-[野井]NOI』が会期中に数多く開かれるようです。『場』を形成させるヒトとヒトのコミュニケーションが僕たちにどんな気づきをもたらしてくれるのか、ちょっと楽しみです。
ここに掲載した野井展のポスターは、野井さんの空間にみるインスタレーションに刺激を受けて制作したもの。ポスターを見られた瞬間、野井さんが「ええな、これ。俺の名前や」と言ってOKマークを示されたのがチャーミングでした。66歳の野井さんを囲んで若手のクリエイターがみんなで盛り上げる。東日本大震災で苦悩する日本だけど、「de sign de できること」をみんなで考える。そんな「場」を野井さんがつくり出してくれました。夜な夜な展開する『たまり場』も楽しみだし、野井さんのワークショップ『まなび場』も期待が膨らむし、建築家の宮本佳明さん、デザイナーの安積朋子さん、インテリアデザイナーの近藤康夫さん、グラフィックデザイナーの杉崎真之助さん達が登場する『気づき場』のトークショーも楽しみ。春から夏に向けてなんだかワクワクするde sign de > へ、3つの「場」を楽しみにいらっしゃいませんか。


中之島デザインミュージアム de sign de > 開館記念展[創造のアーカイヴ vol.1]
野井成正の表現ー外から内へ/内から外へ
2011年4月26日(火)-7月3日(日)12:00-19:00(入場は18:30) 月曜休館 

会場:
中之島デザインミュージアム de sign de >
大阪市北区中之島5-3-56 中之島バンクスEAST
Phone.06-6444-4704 Email:info@designde.jp http://www.designde.jp

三木組奮闘記 2年目の春

東日本大震災と福島原発事故から一ヶ月が過ぎました。いまだ全容が見えない厳しい状況に不安が募るばかり…。それでも桜が開花して春がやって来ました。『三木組奮闘記』2年目の春。新三年生の前期の授業がはじまります。三木組のみんな大丈夫ですか?それでは、元気に授業を始めます。三木組の授業は、「◯◯のポスターを作りましょう」や「◯◯のブランディングを考えましょう」といった媒体を設定したり、方法論を設定するものではありません。一言でいうと「自分で課題を探す」授業です。たぶん、いままで多くの人が与えられた問題に答えを探すことで評価を得てきたことと思います。だから、はじめはみんな戸惑います。もちろん、媒体の特性を知ったり、方法論を教わるなど基本を学ぶことは、とても大切なこと。三木組の授業のやり方を旅に比喩して紹介するならば、海外への一人旅を計画するようなもの。団体ツアーで行く旅と違って交通手段から宿の手配まで、すべての計画を自分でたてなければなりません。でも、旅の途中で気が変われば、自由に計画を変えて行動ができます。違う国に行こうが、同じ場所に滞在しようが全てあなたの自由です。自由だから「はい、準備しておきましたよ」なんてお膳立ては一切なし。あなたの考えで旅を楽しむ。これが三木組の基本です。旅の計画を立てたことのない方にとっては、ちょっと不安ですよね。「でも、大丈夫です」。すぐに慣れます。慣れるどころか、自由になってものすごく楽しそうに羽ばたいていった君たちの先輩を、僕は昨年の一年間たくさん見てきました。自分の目で見て、自分の手で触れて、自分の頭で考える。この当たり前のことが三木組の授業の基本です。WEBから得る情報を簡単に鵜呑みにしてはいけません。しっかりと観察する。納得するまで調べる。現場に足を運び五感全てを奮い立たせて実感する。この『観察』を重要視します。そして、そこで見つけた発想のヒントを『想像』へと膨らませることを体験してもらいます。『観察と想像』がデザインの種となる『気づき』を生みます。それを見つけた人は、勝手に羽ばたいていきます。僕の教育方針は、「自分のコピーを作らない」こと。つまり、僕のデザインを写させるような授業はしない。みんなの自由な発想力をより大きくジャンプさせる『跳び板』になること。上手くジャンプするタイミングやコツはアドバイスしますが、走るのも、跳ぶのも、みなさんの勇気です。未知なる道を自分で切り開く。これがデザインの旅のはじまりです。
それでは、[テーマ]を発表します。

[テーマ]
◯+◯=行為と状況

自らが課題を探す『課題』です。この課題は、『1+1=?』といった単に回答を探すデザインを求めていません。『1+1』の部分に『◯+◯』を、『=?』の部分に『=行為と状況』をあてはめてください。数式にすると『◯+◯=行為と状況』となるようなデザインを考える課題です。つまり、考え方をデザインしたり、つくり方をデザインする課題だと考えてください。従来の解決方法を導くデザインとは少し違う、答えを導くまでのプロセスをいかに新しい視点で組立てていくかといった課題です。言い方を変えれば、決められた道をどれだけ楽しくデザインするかといった考え方ではなく、未知なる道を切り開くことで『行為と状況』を生み出す、新しいコミュニケーションの姿をデザインの価値と呼ぼうとする考え方です。「まどろこしいですね」。少し事例を出して課題の説明をします。例えば、ある町が景観を活かして観光について考えるといった課題をあなたが設定したとします。町にある樹木の中で「子どもが木に抱きつき、手をいっぱいに伸ばしても届かない太さの木は、伐ってはならない」というルール(=コンセプト)を決めたとします。そのルールを『子どもがハグして決める伐採禁止法令』という呼び方(=ネーミング)にします。『成長した樹木は、“町の財産”。 それをみんなで見守る』といった考え方が理念です。町の子ども達が木にハグをしながら、「これ、町の財産」といって景観を守っていく姿が想像できませんか?そのハグする『行為』が、ちょっとチャーミングだと思えませんか?観光にやって来る子ども達も、こぞって木にハグするような『状況』が思い浮かびませんか?メディアやニュースは、「◯◯町の町議会で『子どもがハグして決める伐採禁止法令』が採択されました。町中の子ども達が、『この木、町の財産』といってハグをしています。ユニークな光景ですね」と伝え始めます。もし、こんなユニークな法案が採択されたとしたら、あなたならどんなデザインをしますか?子ども達が手を一杯に広げて木にハグしている写真を撮りませんか?もしくは、一本の木にたくさんの子ども達が登って、上から下までコアラみたいにハグする写真を撮ろうなんて考えませんか?なんだかワクワクしてきて、どんどんアイデアが飛び出しそうな気分になりませんか?『◯+◯=行為と状況』。この『◯+◯』は、考え方をデザインするプロセスだと位置づけてください。『美しい景観を残す+子ども達が見守る=そこに観光という行為や状況が生み出される』。新しいコミュニケーションの道を切り開く考え方を提案してください。自由になって、真剣になって、あなたが楽しくて楽しくて仕方がないデザインを考えてください。

いかがでしたか。三木組、新三年生の一回目の授業。
授業の最後に、三木組のみんなと『子どもがハグして決める伐採禁止法令』をイメージしながら記念撮影。「みんな、子ども達の気分になって!」。「はい、ポーズ」。子どもが木にハグする。ハグされた木が子どもを抱きしめる。三木組のみんなが子どもになったり、木になったり『行為と状況』。三木組のみんな素敵な笑顔です。