暦は、一日、二日…と、数える日読み「かよみ」が語源といわれています。暦には、天体の運行位置や軌道および天象の予報を記述するもの、日付・曜日・二十四節気・七十二候・六曜や年中行事など、たくさんの情報が含まれたものが存在します。時折、ニュースや天気予報などで「暦の上では…」という言葉を耳にしますが、その表現に、移りゆく自然のリズムに寄り添った日本の文化や風習を感じとることができます。いわば、暦が「暮らしのものさし」として機能してきたことが垣間見られます。また、そこに予言的な性質をもつ占星術や、過去の天気情報を独自の統計で組み立てて、天気予測をするなどの多面的な視座が重なることで、暦には「暮らしの未来を想像する」浪漫が息づいてきたのではないかと考えます。2019年の竹尾デスクダイアリーは、日本の文化や風習を紡ぎながら「毎日をていねいに暮らしていく」日本人の自然観をコンセプトに、旧暦を拠り所としたタイポグラフィによる絵本のような表現を試みました。各月の扉は、数字による窓を開け、ページをめくる度に季節の風が移ろうように変化を楽しむことができます。また、その扉の紙もそれぞれ個性があるものを選択しました。なぜなら、紙の持つ風合いや色や柄がさまざまな自然をお手本にして作られてきたのではないかと想像したからです。紙の成り立ちもまた、植物繊維を原料にしており「植物の遺伝子」を受け継いできました。「かみ」と「こよみ」から成る、「かよみ(日読み)」。それは、ていねい・丹精・てまひまを大切に、暮らしの日々を綴るダイアリーです。