Academic

Workshop

大阪芸術大学

初めてデザインを学ぶ方へ

講演「OSAKA DESIGN FORUM 2012」

Concept

OSAKA DESIGN FORUMは、学生が主体となり運営する学びの実践の場です。学年やコースの境界を越え、学科全体が一つとなって動きます。その経験の中に、教育の本質が静かに潜んでいます。2012年の講演では、友人の佐藤卓さんと海外のデザイナーを招く予定でした。しかし直前になり、海外のデザイナーがキャンセルになりました。学科長、喜多俊之さんから「この日程で頼めるのは三木さんしかいない」と懇願され、私は「えぇ〜」と思いつつも、急遽講演を引き受けることになりました。着任が4月、講演は5月20日で、わずか1ヶ月半の状況です。学術的な蓄積も、教育者としての経験もまだほとんどない状態で、私は「何を伝えるのか」という問いと向き合わざるを得ませんでした。幸い、着任前から教育メソッド「APPLE」は準備していました。しかし、学生作品のリアリティをどう講演に組み込むかは最後まで課題でした。前日の授業の様子をスライドに取り込み、即興と準備が交錯する中で、時間と空間の制約そのものが学びの一部になることを、強く実感しました。この経験から、ひとつ気づいたことがあります。学びとは、計画や理論だけで成立するものではありません。不確かさの中に身を置き、目の前の現実に注意深く向き合い、行動し、振り返る。その営みそのものが、学びであり、デザインの思考なのです。教育とは、時間と存在を問い直す行為でもあります。限られた時間の中で生まれる決断や試行錯誤、そこに宿る不確かさや不完全さこそ、思考の源泉です。私たちは学びを通して、自分がどこに立ち、世界とどう関わるのかを問い続けます。講演の準備不足や不安は、恐れるべきものではありません。それはむしろ、思索の起点であり、行為の意味を深める契機です。学びの場での一瞬一瞬が、私たちの存在を静かに確かめる作業になると、今も私は思います。とはいえ、「みなさん、講演依頼はできるだけ早めに」という教訓も、どうか心に留めておいてください。

Credits

2012年5月20日(日)

Art direction:
Ken Miki

Graphic Design:
Ken Miki & Associates