世界ポスタートリエンナーレトヤマは、1985年の創設以来、3年ごとに世界の最新ポスターを集め、審査・選抜する国際公募展です。今回13回目となる公募には、世界64カ国・地域から5,493点のポスターが寄せられました。自主制作部門のテーマは「INVISIBLE」。美術館から審査員も同じテーマで新作のポスターを制作する依頼がありました。「INVISIBLE」は、目に見えないもの、隠れたもの、気づかれないものこの言葉は、自然界の生き物たちが身を守るために行うカモフラージュ、すなわち『擬態』の行為を思わせます。それは、生命が生き延びるために編み出した巧妙な戦略であり、まさに目に見えない知恵の現れです。一方、現代社会の情報は、コピーやペーストを繰り返すうちに「真実とは何か」がわからなくなることがあります。情報が繰り返され、複製され、無意味に増殖するその様子もまた、一種の擬態であり「情報の擬態」と言えるのではないかと考えます。この作品では、コンピューターが情報を表現・処理する基本単位「0(オフ)」と「1(オン)」に着目し、あえて「0(オフ)」のみを繰り返すことで、機能しない情報の擬態を可視化しました。目に見えない混沌や、意味が揺らぐ状況を、ポスターという「時代や場所を映す鏡」を通して表現しています。言葉では伝えきれないもの、目には見えないもの──それを視覚的に示すことが、ポスター表現の持つ力であり、「INVISIBLE」というテーマが、現代社会の本質を映す問いであると考えています。