




Works
Branding
U COFFEE
Point of View
神戸で生まれ育った私にとって、三宮は青春時代の記憶が刻まれた街です。その街に、自らが手がけた「U COFFEE」のマークが塔屋の上に掲げられた光景を、今も鮮明に覚えています。気がつけば、あれから37年もの時間が過ぎていました。自らが形にしたものが、街の風景の一部として在り続けている。その事実に気づいたとき、心の奥で何かが静かに動いたことを、今でもはっきりと覚えています。マークは、単なる視覚的な記号ではありません。そこには考え方や視点が凝縮されており、世界をどのように見るかを静かに示しています。日常の中に溶け込みながら、私たちのものの見方そのものに問いを投げかける存在です。制作にあたり掲げた「Point of View」というコンセプトには、一滴のコーヒーの雫から視界が広がっていくように、些細なきっかけから世界の豊かさに気づいてほしいという思いを込めました。私たちは日々の生活の中で、多くの価値を見過ごしながら過ごしています。何気ない瞬間に目を向け、立ち止まって考える余白をつくること。その小さなきっかけとして、このマークが存在していればと考えました。街角でそのマークを見上げたとき、そこにあったのは、過去の仕事の成果という感覚ではありませんでした。時間の流れの中で人々の営みと重なり、今も静かに機能し続ける思考の痕跡でした。デザインは、形をつくる行為であると同時に、他者の時間や感覚と関係を結ぶものです。その責任と可能性を、あの瞬間にあらためて実感したのです。街の中で自分の仕事と再会した体験は、仕事と思索が切り離せないものであることを教えてくれました。それは、今も私の中に残り続けている、大切な記憶です。
1989年
Art direction:
Ken Miki
Graphic Design:
Ken Miki




