Works

Exhibition

富山県美術館

あの人は観た

富山県美術館「西洋絵画 400 年の旅」

Concept

東京富士美術館の西洋絵画コレクションは、16世紀のイタリア・ルネサンス絵画から20世紀の現代絵画まで、西洋絵画史をほぼ一望できる、時を超えた壮麗なコレクションです。その中から厳選された作品によって、16世紀後半から20世紀までの400年の美術史を旅する展覧会が企画されました。モネやルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーガン、シャガールなど、近代の名だたる作家たちの作品に加え、日本ではあまり目にすることのない巨匠たちの絵画も揃います。時代を超えた筆致が、観る者の視線をひそやかに、しかし確実に捉えます。この展覧会の告知ツールを構想したとき、僕の脳裏に浮かんだのは、昭和から平成にかけて人気を博したドラマ「家政婦は見た!」でした。覗き見と秘密の暴露を描いたこの物語のように、アントニー・ヴァン・ダイク作「ベッドフォード伯爵夫人 アン・カーの肖像(1639年 油彩/カンヴァス)」が、400年の時を超えて、現代をじろりと見据える——そんなイメージが心をよぎりました。歴史が現在に問いかけ、静かに対話する瞬間です。美術館にその構想を伝えると「楽しいですね!」と、あっさり承諾が。期待と少しの緊張を抱えながらポスターは完成しました。展覧会を前にした高揚感は、未来と過去の狭間で生まれる、ほんの一瞬の静謐さのようでもありました。しかし、直後に学芸委員から届いた知らせは「コロナウイルスの影響により、展覧会の開催を見送ることになりました」というものでした。準備万端の作品は、日の目を見ることなく、幻となりました。それでも、このデザインは、時代を超えて生まれた思考の痕跡として、ここに静かに残ります。過去と現在、そして鑑賞者の心との間に微かな対話の場を生む、時間の層を映した一枚です。

Credits

Art direction:
Ken Miki

Graphic Design:
Ken Miki, Yoko Inuyama