Academic

Exhibition

大阪芸術大学

APPLE DESIGN INSTITUTE

第18回 亀倉雄策賞受賞記念 三木健展「りんごデザイン研究所」

Concept

『Graphic Design in Japan』の出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に対して贈られる亀倉雄策賞の受賞を記念して展覧会が開催されました。亀倉雄策さんは、1964年の東京オリンピックのエンブレムと公式ポスターをはじめ、グッドデザイン賞のGマークやNTT、TDK、NIKKONなどの企業マークなど、世界を代表するデザイナーの一人です。その受賞を記念して東京のクリエイションギャラリーG8で展覧会を開催することになりました。この展覧会は、G8を皮切りに、大阪芸術大学、新潟県立近代美術館へと巡回し、その後、ご縁があって世界へと巡回することになりました。亀倉雄策賞を受賞した「APPLE+」展(ggg)は、約1年前に開催された展覧会です。よって受賞した展覧会の展覧会ということになり、どんな展示にするかについて相当悩みました。結果「りんごデザイン研究所」と銘打って、大阪芸術大学の僕の研究室を拡張した環境を作り、そこでの思考プロセスやメイキングなどを含む「りんごの種を植える前」として展示することにしました。

実は、当初この展示とは全く違う企画を進めていました。それは、2020年に開催予定(コロナで1年延期)の東京オリンピック、エンブレムコンペに参加したデザイン案と、亀倉雄策賞の受賞作品を展示することで、この展覧会の存在意義を際立てようと考えていたのです。すでに主催者の了承も得て、立体作品の制作にも既に着手していました。ところが当時、いろんな事情から決定したエンブレムや競技場の建設が見送られることとなり再コンペが開かれるなど、大きく世間を揺るがす状況が起こっており、SNSの誹謗中傷がエスカレートしていました。
ある日、主催者が僕の事務所を訪ねてきて「今の現状でオリンピックのエンブレムを発表すると、三木さんを守りきれないかもしれない。一度了承した企画ですが、社内で検討し、オリンピックの展示を取りやめていただけないでしょうか」と懇願されたのです。当時、毎日のように情報番組でオリンピックが取り扱われ、週刊誌の取材依頼がコンペの参加者にもくる状況。悩み抜いた結果、この企画を取りやめることにいたしました。

<受賞のことば>
1964年東京オリンピックの記憶は鮮明に残っている。小学4年生の時だ。日の丸と金の五輪のエンブレム、陸上と水泳のポスター。それらが三面に配置された旧東海銀行の三角柱の貯金箱が僕の机にずっとあった。しかし、当時は亀倉雄策の名を知る由もなかった。その後、デザインを志しその存在を知るのだが、初めて本人に出会った日を忘れることはない。1994年、クリエイションギャラリーG8での僕の個展開催日だった。当時、G8のあるリクルートビルの2階に亀倉デザイン研究室があり挨拶に出かけた。丁度、東京国際フォーラムのシンボルマーク指名コンペに参加していた僕は、発表を首を長くして待っていた。開口一番「君の東京国際フォーラムのシンボルマークは最終選考で選ばれなかった。シンボルは難しいな」。僕にとっての『デザインの神』のような存在からの言葉だ。「君のシンボルは、君が展開することを目論んでいる。シンボルは打たれ強くなければならない。特に公共のシンボルは難しい。誰が展開しようが、少々斜めに配置をされてもビクともしない強さがいる。何より理念が明快に表現されている。それがシンボルなんだ」。この言葉がいまだ脳裏から離れない。あれからずいぶんの年月が経った。まさか、亀倉雄策賞の知らせが僕に届くとは夢にも思わなかった。今回の受賞は『APPLE+』の展覧会の告知ポスターが対象だが、その背景には『APPLE』というデザイン教育プログラムがある。これは、誰もが知っている『りんご』を通してデザインの楽しさや奥深さに気づいてもらうという構造だ。身体性を生かした観察手法や、自然界に潜む色の抽出、また、不自由さの中で見つけ出す物の真意や、偶然の幸運に出会う発想法など、ユニークな実習を通して『気づき』に気づき、最終的にはそれらすべてのプロセスが記録された教科書へと仕上がる。このように社会課題の一つである『教育』をテーマにしたデザインに評価をいただきとても嬉しく思う。このプロジェクトでは、ポスターにおける錯視を心理学者で立命館大学の北岡明佳教授に監修をいただき、その他、多くの専門家に協力を得た。ポスター、空間、インタラクティブ、映像、音楽、立体造形、書籍などあらゆるメディアを駆使して「デザインとは何か」を問い続けた。そして、その問いに真剣に悩み答えを模索した学生達。ここにみんなの力が結集してこの度の受賞へと繋がったと思う。多くのみなさんにこの場を借りて感謝したい。

Credits

第18回亀倉雄策賞受賞記念 三木健展
「りんごデザイン研究所」

東京[クリエイションギャラリーG8]
2016年5月9日(月)- 6月2日(木)

大阪[大阪芸術大学スカイキャンパス]
2016年6月7日(月)- 6月30日(木)

新潟[新潟県立近代美術館]
2016年11月19日(土)- 12月11日(日)

Art direction:
Ken Miki

Graphic Design:
Ken Miki & Associates

TOKYO / Creation Gallery G8

OSAKA / Osaka University of Arts Sky Campus

NIIGATA / The Niigata Prefectural Museum of Modern Art