大阪芸術大学デザイン学科の授業「APPLE」は、世界中の誰もが知っている「りんご」を手がかりに、デザインとは何かをゆっくり問い直していく授業です。背景にあるのは、古代ギリシャの哲学者ソクラテスの言葉、「無知の知。私は知らないということを知っている。」知覚や認識について考えていくと、りんごはただの果物ではなくなります。考えるための入口であり、デザインと哲学をつなぐ小さな装置になります。授業のプロセスは、理解して、観察して、想像して、分解して、編集して、可視化していきます。そのすべてを通して、学生は「気づきに気づく」感覚を少しずつ身につけていきます。その中で育っていくのは、物事の本質を見る力、発想し、表現する力、そして、自分から学ぼうとする力です。毎回の授業には必ず何かしらの気づきがあります。回を重ねるごとに、学生たちの中にデザインへの興味が少しずつ、確かに芽生えていきます。教えるというより、一緒に育っていく。発想はそこで大きくジャンプします。この教育メソッドは、クラス全体がひとつのチームとなり、「共に育つ」ための学びの場をつくろうとしています。学ぶことそのものが思考の実践となり、学生と教師の関係の中で、デザインの世界は静かに広がっていきます。