「最高の素材と最高の場所で、最高のものをつくる」。昆布匠「宗達」にとって、それは目標ではなく、存在の理由そのものです。自然の恵みと向き合い、環境を選び、余分なものを削ぎ落とす。その積み重ねは、「素にして上質」という姿勢として、商品だけでなく、ブランドの在り方全体に貫かれています。「宗達」が目指すのは、単に良い昆布をつくることではありません。日本の食文化が育んできた精神や美意識を、現代においてどのように受け継ぎ、次の時代へと手渡していくか。その問いに向き合い続けることこそが、このブランドの存在意義です。本プロジェクトは、その存在意義を可視化するための試みとして始まりました。空間、素材、文字、音といった異なる表現領域が、それぞれの専門性をもって集い、一つの思想を共有しながら、静かに響き合うチームが編成されました。本店空間は、建築家・木原千利を中心に、和紙ディレクター・堀木エリ子、版築作家・浅原雄三が参加し、素材の持つ時間や気配を丁寧に引き出しています。店名の書は書家・榊莫山が、店頭やWebを流れる環境音楽は音楽家・東祥高が担当しました。私は、ブランドの核となるV.I.のアートディレクションを担い、思想を視覚へと翻訳しています。つくり手の表現力はもちろん重要です。しかし、それ以上にブランドを形づくるのは、何を選び、何を選ばないかという決断の連続であり、その背後にある揺るぎない信念です。選択に思想が宿るとき、ブランドは一過性の流行を超え、時間に耐える存在となります。「宗達」は、静かでありながら強い意志をもって、食を通じて人と文化をつなぎ続けます。その営みこそが、「素にして上質」という言葉の奥に息づく、宗達のパーパスなのです。