大阪芸術大学、芸術情報センター図書館の一角に、りんごデザイン研究所はあります。ここは、「りんご」という、誰もが知っている存在を入口に、デザインとは何かを考える場所です。特別な知識を持たないことから、思考は始まります。この研究所の起点は、1コマの授業でした。考え方の考え方。作り方の作り方。伝え方の伝え方。学び方の学び方。それらは方法論ではなく、思考に対する姿勢です。デザインとは、形を与えることではなく、世界の見方を更新する行為だと考えています。授業は、やがて講演となり、出版となり、展覧会となりました。時間と場所を越えて積み重なった思考は、再び、この場所へと戻ってきます。研究とは、思考が循環することでもあります。ここでは、「デザインとは何か」という素朴な問いと、「思考をどう使うのか」という実践的な問いが、同じ平面に置かれています。答えは示されません。問いそのものが、展示されています。大学は、知を蓄えるためだけの場所ではありません。知を、社会にひらくための装置でもあります。りんごデザイン研究所は、学びが外へとにじみ出るための、静かな接点です。研究機関でありながら、この場所は誰にでもひらかれています。専門家である必要はありません。問いを持つこと。それだけで、十分です。1コマの授業から生まれた思考は、研究となり、空間となり、再び、人の思考へと返っていきます。りんごデザイン研究所は、学びが、世界と出会い直すための場所です。