中之島デザインミュージアム de sign de > で開催されている『KANSAI 6大阪展―つながる建築・ひらかれる言葉』は、遠藤秀平、李暎一、宮本佳明、長坂大、竹山聖、米田明の6名による建築展。韓国での展覧会を皮切りにアジアの国々を巡回する企画。その日本展が12月25日まで開催されています。いずれの建築家も国内外で活躍する個性豊かな建築をつくる人たちです。言い方を変えれば6人6様。作風も建築思想もそれぞれ異なります。そこで、グルグルやジワジワといった『オノマトペ』を通して6人の作風や建築思想を語るコンテンツにすることになったらしいのです。彼らの建築をオノマトペで比喩してみると、遠藤さんがGURU GRU、李さんがMAZE MAZE、宮本さんがGUI GUI、長坂さんがJIWA JIWA、竹山さんがZIG ZAG、米田さんがGUN GUN。このオノマトペ、建築家自身が建築コンセプトにそって決めたもの。解釈は人それぞれなのでしょうが、僕は見事に言い当てているように思えるのです。オノマトペ(onomatopoeia)の語源はギリシャ語。onomaという語は「名前」の意味。poeiaの語は「作る」を意味していて「名前を作る」が原義です。もともと読みのない音に字句を創りだしたことに由来しています。「擬音語」は、自然界の音に字句を当てたものです。風がヒューヒュー。水がサラサラ。犬がワンワン。といったように世界中で使われています。ちなみに英語では犬は「BOW WOU」。日本人とは音のとらえ方が少し違います。「擬態語」は、状態や身振り、心情を音で表したものです。面白すぎてケラケラ。腹が立ってムカムカ。大きな男がノシノシ。老人がヨボヨボなど、特に日本人が多く使う表現だそうです。この「擬音語」と「擬態語」の総称を『擬声語(=オノマトペ)』といいます。オノマトぺは、決して理性的な言葉ではありませんが、身体性や情緒性や空間性が潜んでいて直感的にその映像が浮かんできます。つまり、音により素早く可視化する力が潜んでいると思えるのです。気配が伝わる。状況が理解できる。身体的で直感力のあるコミュニケーション手段だと位置づけることができるのではないでしょうか。その6人からご指名をいただき僕がポスターやサインなど、この展覧会の一連のアートディレクションを仰せつかることになったのです。いざ打ち合わせが始まると、何か一つの議論に喧々囂々。それぞれが考え方も美意識も違う。展示パネル一つをとっても自分達のスタイルで準備してくるのでみんなバラバラ。事務局はあたふた。「いやはや、『頭のいい、わがままな図工大好き少年がそのまま年を重ねたようなおじさん』というのが僕の彼らに対する印象」(笑)。力のある建築家でも、こと自分で自分の作品を編集するとなると客観性が弱くなるのか、グループ展なので競い合う意識が高まり主張が強くなるのか、『木を見て森を見ず』の状態。「僕も反対の立場ならきっとそうなるだろうな~」なんて想像しながらも、ここは編集者の視点をしっかり持って個と全体をいかした展覧会にしなければ!と、強い意気込みで彼らと向き合います。僕が最初に取りかかったのは、それぞれの建築コンセプトを読み取りながら『オノマトペ・ロゴタイプ』を作ること。そして、そのコンセプトやオノマトペの擬態性をイメージして『オノマトペ・ロゴタイプ』に命を注ぎ、人の動作に反応するインタラクティブな文字の生命体を作り出したいと考えたのです。つまり6人の建築家をメタファーするような『情報の建築』を会場入り口にある階段吹き抜けの壁に作り出そうと思ったのです。映像はアート・デザインユニット『softpad』とのコラボレーション。その階段を上がると観客を出迎える展覧会の情報があるのです。そのデザインは、白い壁に『白い文字』。弱く静かな壁は、能動的に情報を読み取りにいかなければならないぐらい繊細なデザインにすることで、強く主張する6人の建築家の模型や思想を際立たせることにしました。本当のことをいうと、設営の数日前までは黒の文字にすることに疑いすらもっていなかったのです。しかし、建築家の主張が強まるにつれフラジャイルな空間にすることで生命の宿ったオノマトペが引き立ち、その吹き抜けがそれぞれの建築家の個性に出会うためのイニシエーションの空間となっていくのではないかと発想したのです。極めて弱い情報に目を凝らすように近づく人々を想像する。それは、『陰翳礼讃』の世界観を『白の白』で表現してみようと考えた結果なのです。「弱く、もろく、壊れそうな壁の情報が透明な光になって6人の建築家を照らすことになってくれればいいな」と思っています。この展覧会6人の建築家が対談するリレートークと建築史家の倉方俊輔さんが塾長となる4回シリーズの倉方塾もあって見所満載。僕も竹山聖さんと12月22日に「話す建築」というタイトルで対談します。ZIG ZAGの建築が「ペチャクチャ」と話しだすかもしれません。みんなと「ペチャクチャ」そんなにぎわいのある話が出来ればと思っています。
KANSAI 6 EXHIBITION IN OSAKA |ONOMATOPOEIA|
つながる建築・ひらかれる言葉
EXHIBITION1 オノマトペの建築
EXHIBITION2 S=1:10―建築家建売住宅展示場
会 期 2011年11月26日(土)~12月25日(日)
開館時間 12:00~19:00/月曜休館
観覧料 ¥500(中学生以下無料)
会場:中之島デザインミュージアム de sign de >
大阪市北区中之島5-3-56 中之島バンクスEAST
Phone.06-6444-4704 Email:info@designde.jp
http://www.designde.jp
『 ユニセフ祈りのツリーproject』に参加しています。
震災後、はじめて迎えるクリスマスに「もう一度、被災地の子どもたちのことを思うきっかけをつくろう」という呼びかけにデザイナーや学生など2,000人以上の人が参加。クリスマスツリーのオーナメントをデザインして被災した子どもたちに少しでも喜んでもらったり、ビックツリーにして多くの人にこの悲惨な震災を忘れないでもらおうという運動です。参加者が、同じデザインのオーナメントを三つ制作して、一つは東京の有楽町で『祈りのビックツリー』を作る。もう一つは、被災地の幼稚園や保育園などに届けて子どもたちに楽しんでもらう。そして、残りの一つをチャリティー販売するという計画。些細なことだけどデザインを通して少しでも社会に役立てばと考え参加することに。僕とスタッフが一緒に作ったのが、柔らかなファーの『白くまツリー』。ふわふわの布で触れるとあったか…。この『白くまツリー』をGIFアニメで動かして、この場で勇気・元気・根気を届ける 三つの気(=木)の3Treesダンスをご披露。みんなのデザインしたオーナメントが集まって、被災地への大きな祈りになるといいな〜。そして、子どもたちが心の底から微笑む日がはやくやって来ますように…。
http://inoritree.com/
2つのチャリティ企画に参加しています。いずれも、3月11日の東日本大震災の復興への願いを込めて企画されたものです。1つ目は、クリエイションギャラリーG8とガーディアン・ガーデンによる企画で、被災地4県の染め物業を営む職人さん達と共に、伝統的な「印染(しるしぞめ)」で作るトートバッグのプロジェクトです。「印染」とは、大漁旗や袢天(はんてん)など、文字や図案をオーダーメイドによって、ひとつひとつ仕上げる染物。被災した岩手・宮城・福島・茨城4県の日本有数の漁港では、これまで海の安全と豊漁を祈願して大漁旗が色鮮やかにはためいていました。しかし、今回の大震災により大きなダメージを受けてしまいました。そこで、地元の産業を応援すると共に、トートバックの販売収益の全てを被災地へ義援金として寄付する展覧会のプロジェクトが立ち上がりました。2つ目は、僕が所属している日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)のグラフィックデザイナー586名が参加するハンカチのチャリティ展覧会です。この企画は、来場者が1枚購入するごとにハンカチが1枚、被災地の子供たちに届く仕組み。デザインで世界を少しやさしくする発想です。この2つのチャリティ企画で僕がイメージしたのは、トートバックとハンカチを一つの物語で繋ぐアイデア。みなさん、下にあるトートバックの正方形と三角形を組み合わせた『図』、なんだかわかりますか?『日本』という漢字が『地』の部分に潜んでいるでしょ。『地と図』の関係を利用したデザイン。見方によれば柔道などの『一本』とも読めます。「一本、日本」「がんばれ日本」というエールを込めたデザイン。内側のポケットには『赤い日の丸』。そして、そのポケットの中に『微笑むJAPAN』のハンカチが入っている。「世界が微笑む日本になろう!」という想いを込めて…。『日いずる国』日本がはやく健康な笑顔になりますように…。
CREATION Project 2011東日本の職人と180人のクリエイターがつくる印染トートバッグ展
2011年11月24日(木)~ 12月22日(木)
11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料
http://rcc.recruit.co.jp/co/exhibition/co_nen_201111/co_nen_201111.html
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JAGDA東北復興支援チャリティ やさしいハンカチ展
http://www.jagda.org/information/jagda/1165
TAIPEI WORLD DESIGN EXPO 2011の関連イベントで台湾に来ています。台北から台南へと新幹線で移動して翌朝講演。そして、すぐに台北に戻る強行軍。台南に着くや否や市長を交えての晩餐会。「ところで、リハーサルはいつするの?」。「えっと、えっと…明日」。何だか不安が募ります。というのも文化の違いなど、海外での講演で問題が起きずに進んだ試しがありません。今回は、台北と台南で異なる講演者が予定されており、僕がトップバッターを任されています。「じゃ、明日は本番の2時間前で…」。「2時間前ですか?」。どうやら、事前のリハーサルが組み込まれていない様子。翌朝、約束の時間に会場へ行くと、まだ設営中。「いつテストが出来るんだろう?」。「いつでもどうぞ」。いつでもって、映像は映し出されているものの正面のスクリーンではなく、会場左右のスピーカーや凹凸のある壁。正面にスクリーンらしきものがありません。「じゃ、緞帳を上げて正面のスクリーンを出して」。「…」。「だから、早く!」。「正面にスクリーンはありません。投影するのは、今映ってる左右の壁です」。「ちょっと待って、1800名ものオーディエンスが来るんでしょ。ここじゃ1階の奥の席や2階、まして3階は全く見えないよ」。「…」。「それに、壁に埋め込まれたスピーカーがあり、これじゃスライドに大きな絆創膏を貼ってるみたいじゃない」。「…」。「加えて、建築物の構造が壁にいっぱい飛び出しているから映像がいたるところで歪んでる」。「映像をしっかり見て!ちゃんとスクリーンに映さないと画質がドヨーンと濁ってる。こんな状況で講演できるわけないでしょ!」。「でも、これしか用意できない」。僕の怒りは、爆発寸前。見かねた関係者の一人が「これはあまりにひどい。国をあげてのデザインイベントなんだから、何とかしないと!」。「これしか用意できない」。「大型プロジェクターはないのか?」。台南の隣『高雄』(車で1時間以上かかる距離)までいかないと大型プロジェクターが手に入らないと説明してくる。よって「今からでは無理」の一点張り。「こんな状況で講演なんて出来る訳ない!」と大爆発。そこに台南市の市長が主催者として挨拶のために登場。このただならぬ緊張した空気を察知した市長が「大変申し訳ない。ただ、受付に学生が溢れていて入場させないと収拾がつかない。なんとか、講演を…」と頭を下げられます。「でも、国際的なデザイン会議で映像がまともに映らない講演なんてあり得ない」と、引き下がらない僕。海外でのトラブルにはしょっちゅう巻き込まれますが、今回は最大級のピンチです。そこに、入り口付近で溢れていた観客が入場してきました。市の関係者が飛んで僕の所にやってきて「お願いします。事故が起きてからでは…」。
「オー・マイ・ゴッド!」。「うぅ…」。スライドのテストどころか…。怒りを抑えながら控え室に。市長の話が始まりました。こうなったら開き直ってやるしかありません。国際問題になっちゃう。冷静になって50分の講演、なんとかやり終えました。拍手は舞うものの、観客に響いたかどうか不安です。そこに、ある大学教授がやって来て「素晴らしかった。感動した。あなたを私たちの大学の客員教授でお招きしたいのですが…」と、これも唐突な話。「えぇ…」。即答は控えましたが落ち込んでいた気持ちが少し晴れたような…。いや、さらに不安なような…。そして、昼食。引っ切りなしに台南市の文化局や主催者がお詫びにやって来て食事どころではありません。そして、午後からの講演会場に戻ると、「えぇ……!」の最大級。大型スクリーンが設置されているではありませんか。市長の命令で『高雄』へプロジェクターを借りに行った様子。「出来るんじゃない!」。再び「オー・マイ・ゴッド!」と、頭を抱える僕に、他の講演者からは「Kenのおかげでスライドがきれいに映った」と喜ばれる始末。講演後すぐに新幹線で台北へ。すごい強行軍です。そして、台北では、オーディエンスとなって他の講演者の話を聞く予定が、主催者から「台北でもう一度講演をしてくれないか」と前日の夜に依頼がありました。「こうなったら、やけくそ。何でもやったるわい」で、26日11時30分から台北で再度講演することに。「神さま、今度は設営が上手くいっていますように…」。
矩形のグレーがスピーカー。構造物により歪む映像。壁の目地が画像に見える。
後期の授業が始まりました。僕の授業は、15週で学生が「ガラッ」と入れ替わる選択科目。夏休み最後の土曜日に前期の学生達を僕の事務所に招待して『三木組卒業式』という名の茶話会を開いたのが9月10日。翌週の17日は『三木組入学式』という名の初授業。またまた始まりました三木組奮闘記。楽しくやるよ。みんながんばってね!
それでは課題の説明。今回の課題は、『気づきミュージアム』です。『観察力』と『想像力』を活かして『デザイン力』を身につける課題です。町に出かけ路上観察を行ってください。いつもの見慣れた風景に目を凝らして、気になるモノやコトを採集してください。最低でも一つのテーマで50以上。規定の『フィールドカード』に記録してください。その観察した素材を元にあなたのユニークな想像力で『気づきミュージアム』の企画とデザインを考えてください。考え方の参考に事例をあげます。
事例1
アスファルトのすき間やコンクリートの割れ目に生える雑草や苔ばかりを記録して『町中雑草庭園』と名づけてみます。あなたの観察力と想像力で町で目にする雑草を庭園と見立てたとします。大きな地図に採集した場所を示し、それぞれの写真を巨大に拡大して展示。観客はガリバーになったつもりで会場を観覧。告知ツールのポスターは、苔をコラージュしたタイポグラフィで表現。チケットは、道路の写真に草のカタチが切り抜かれた平面でありながら立体感のあるデザイン。ミュージアムグッズや作品集も採集した雑草でデザイン。ミュージアムCafeのメニューは、摘み草サラダを期間限定で準備。このように路上観察で発見したモノやコトをあなたの想像力でデザインへと繋げてください。
事例2
『文字』をテーマに路上観察に出かけてみる。くるくると巻かれたホースがアルファベットの『O』の形に見えてきたとします。すると工事現場の脚立が『A』に見えてくる。あなたの想像力を活かして路上観察をしながら『A』から『Z』までを採集してみる。それを拡大して展示。ミュージアムグッズや作品集にも展開して販売。また、それらのアルファベットで文字を組む。展覧会のツールやサインは全てその文字を使用する。何だか楽しそうに思えませんか。『気づきミュージアム』にやってきた人が「あっ!」とか「ほぉー」と感心する展覧会を企画してください。ミュージアムのアクティビティ(活動)を想定しながらデザインへと仕上げてください。
1. Exhibition 展覧会(気づく・感じる)
2. Education 教育(学ぶ・育てる)
3. Design 商品開発(作る・売る)
4. Society 交流(語る・繋がる)
5. Publication 出版(伝える・広げる)
『気づく・感じる・学ぶ・育てる・作る・売る・語る・繋がる・伝える・広げる』。「ほらっ!」動詞で考えてみるとミュージアムの活動領域が動いて見えるよ。あなたの『気づき』で心が動く。そんな提案を期待してますね!