KenMiki & Associates

KANSAI 6 EXHIBITION IN OSAKA 2011 / ONOMATOPOEIA

中之島デザインミュージアム de sign de > で開催されている『KANSAI 6大阪展―つながる建築・ひらかれる言葉』は、遠藤秀平、李暎一、宮本佳明、長坂大、竹山聖、米田明の6名による建築展。韓国での展覧会を皮切りにアジアの国々を巡回する企画。その日本展が12月25日まで開催されています。いずれの建築家も国内外で活躍する個性豊かな建築をつくる人たちです。言い方を変えれば6人6様。作風も建築思想もそれぞれ異なります。そこで、グルグルやジワジワといった『オノマトペ』を通して6人の作風や建築思想を語るコンテンツにすることになったらしいのです。彼らの建築をオノマトペで比喩してみると、遠藤さんがGURU GRU、李さんがMAZE MAZE、宮本さんがGUI GUI、長坂さんがJIWA JIWA、竹山さんがZIG ZAG、米田さんがGUN GUN。このオノマトペ、建築家自身が建築コンセプトにそって決めたもの。解釈は人それぞれなのでしょうが、僕は見事に言い当てているように思えるのです。オノマトペ(onomatopoeia)の語源はギリシャ語。onomaという語は「名前」の意味。poeiaの語は「作る」を意味していて「名前を作る」が原義です。もともと読みのない音に字句を創りだしたことに由来しています。「擬音語」は、自然界の音に字句を当てたものです。風がヒューヒュー。水がサラサラ。犬がワンワン。といったように世界中で使われています。ちなみに英語では犬は「BOW WOU」。日本人とは音のとらえ方が少し違います。「擬態語」は、状態や身振り、心情を音で表したものです。面白すぎてケラケラ。腹が立ってムカムカ。大きな男がノシノシ。老人がヨボヨボなど、特に日本人が多く使う表現だそうです。この「擬音語」と「擬態語」の総称を『擬声語(=オノマトペ)』といいます。オノマトぺは、決して理性的な言葉ではありませんが、身体性や情緒性や空間性が潜んでいて直感的にその映像が浮かんできます。つまり、音により素早く可視化する力が潜んでいると思えるのです。気配が伝わる。状況が理解できる。身体的で直感力のあるコミュニケーション手段だと位置づけることができるのではないでしょうか。その6人からご指名をいただき僕がポスターやサインなど、この展覧会の一連のアートディレクションを仰せつかることになったのです。いざ打ち合わせが始まると、何か一つの議論に喧々囂々。それぞれが考え方も美意識も違う。展示パネル一つをとっても自分達のスタイルで準備してくるのでみんなバラバラ。事務局はあたふた。「いやはや、『頭のいい、わがままな図工大好き少年がそのまま年を重ねたようなおじさん』というのが僕の彼らに対する印象」(笑)。力のある建築家でも、こと自分で自分の作品を編集するとなると客観性が弱くなるのか、グループ展なので競い合う意識が高まり主張が強くなるのか、『木を見て森を見ず』の状態。「僕も反対の立場ならきっとそうなるだろうな~」なんて想像しながらも、ここは編集者の視点をしっかり持って個と全体をいかした展覧会にしなければ!と、強い意気込みで彼らと向き合います。僕が最初に取りかかったのは、それぞれの建築コンセプトを読み取りながら『オノマトペ・ロゴタイプ』を作ること。そして、そのコンセプトやオノマトペの擬態性をイメージして『オノマトペ・ロゴタイプ』に命を注ぎ、人の動作に反応するインタラクティブな文字の生命体を作り出したいと考えたのです。つまり6人の建築家をメタファーするような『情報の建築』を会場入り口にある階段吹き抜けの壁に作り出そうと思ったのです。映像はアート・デザインユニット『softpad』とのコラボレーション。その階段を上がると観客を出迎える展覧会の情報があるのです。そのデザインは、白い壁に『白い文字』。弱く静かな壁は、能動的に情報を読み取りにいかなければならないぐらい繊細なデザインにすることで、強く主張する6人の建築家の模型や思想を際立たせることにしました。本当のことをいうと、設営の数日前までは黒の文字にすることに疑いすらもっていなかったのです。しかし、建築家の主張が強まるにつれフラジャイルな空間にすることで生命の宿ったオノマトペが引き立ち、その吹き抜けがそれぞれの建築家の個性に出会うためのイニシエーションの空間となっていくのではないかと発想したのです。極めて弱い情報に目を凝らすように近づく人々を想像する。それは、『陰翳礼讃』の世界観を『白の白』で表現してみようと考えた結果なのです。「弱く、もろく、壊れそうな壁の情報が透明な光になって6人の建築家を照らすことになってくれればいいな」と思っています。この展覧会6人の建築家が対談するリレートークと建築史家の倉方俊輔さんが塾長となる4回シリーズの倉方塾もあって見所満載。僕も竹山聖さんと12月22日に「話す建築」というタイトルで対談します。ZIG ZAGの建築が「ペチャクチャ」と話しだすかもしれません。みんなと「ペチャクチャ」そんなにぎわいのある話が出来ればと思っています。



KANSAI 6 EXHIBITION IN OSAKA |ONOMATOPOEIA|
つながる建築・ひらかれる言葉

EXHIBITION1 オノマトペの建築
EXHIBITION2 S=1:10―建築家建売住宅展示場
会 期 2011年11月26日(土)~12月25日(日)
開館時間 12:00~19:00/月曜休館
観覧料 ¥500(中学生以下無料)
会場:中之島デザインミュージアム de sign de >
大阪市北区中之島5-3-56 中之島バンクスEAST
Phone.06-6444-4704 Email:info@designde.jp
http://www.designde.jp