KenMiki & Associates

RELAYING HAPPINESS

メルボルンで開催されているagIdeasの初日は、子ども達に「グッドデザインとは何か?」を教えるプログラムです。メルボルン在住の小学生が集まってきました。11~12歳の子ども達が対象です。このデザインフェスティバルに参加する世界中のデザイナーが講師となり子ども達に語りかけます。2時間で2つの課題を与えます。子ども達に70cm角の白いダンボールが配られました。表面と裏面を使い2つの課題に絵で解答します。一つ目の課題は、「暮らしの中にあるデザインを絵で表現する」。ペンやノート、机や椅子、家や飛行機など、多くの子ども達がプロダクトをデザインと捉えているようです。そんな中、文章を書き綴る子どもを発見。自分の描くイメージを言葉にしているようです。コンセプトを見つけそこから絵を発想しようとしている様子です。驚きました。デザインとは何かが直感的に分かっているようです。すでにデザインの入り口に立っているように思います。
続いて、二つ目の課題が与えられます。「暮らしを快適にするためにデザインで問題解決をするには? 自由な発想でデザインをしてください」。ハードルがいきなり高くなります。まず、ロウソクで明かりをとっていた時代から電気を使って明かりをとる時代の話をします。そこにランプのデザインが生まれるといった内容の事例をいくつか示します。発想のヒントをもらった子ども達は、自分のイメージをどんどん絵に仕上げていきます。『肉の堅さと熱さを計る器具』を発想する子どももいれば、『農家の人たちの作業が快適になる持続可能な循環システムを取り入れた温室』を描く子どもも現れてきます。『鳥と話せるヘルメット』をデザインする子どももいます。子ども達の自由な発想に世界中のデザイナーが目を丸くしています。そして、仕上がった絵を『イームズのハウス オブ カード』のように組み合わせていきます。子ども達が描く未来のデザインの完成です。このデザインが講演会場の入り口に備え付けられました。
ヴィジョンがデザインを作り上げていきます。暮らしを快適にするといった「喜びを想像する」ことがデザイナーに求められます。『喜びをリレーする = RELAYING HAPPINESS』。今から行う講演の最後に語る言葉です。