KenMiki & Associates

さて、この続きは3月6日の土曜日、午後4:00から。

突然の電話。
「もしもし、graf (グラフ)の服部です」。
「どうも、三木です。先日のdddでのレクチャー、珍しく緊張してなかった?」

服部 : そうなんですよ。graf のメンバーと一緒に自分たちの展覧会の話をするって、手前味噌じゃないですか…。ところで、三木さんに、お願いがあるんですけど。
三木 : 何やろ?
服部 : その、dddでやってる『感じる箱展』で三木さんと対談したいんですけど。
三木 : 僕と?
服部 : ぜひ、三木さんと。
デザイン領域を横断的に捉えながらコンセプチャルに物語を組み立てるデザイナーって、以外に少ないじゃないですか。
三木 : そう。結構いると思うけど。実際、graf がそうじゃない。
服部 : いや、上の世代で僕はあんまり知らないですけど…。
それと、前にちょっと聞かせてくれた『良き隣人の法則』の話とか、すごく面白かったし。その他の話も楽しくって、あの時、久しぶりに熱くなったんで…。
三木 : 本当に?いいよ。
服部 : いいっすか!ありがとうございます。

こんな電話の会話でgraf の服部滋樹さんと3月6日の土曜日、午後4:00からdddで対談することになりました。みなさんご存知のように、graf は、オリジナル家具をはじめとするプロダクトや、店舗や住宅の設計といったスペース、また、ブランディングをはじめとするコミュニケーションなどのデザインに加え、アートから食に至るまで「暮らしを豊かにするコトづくり」を実践するクリエイティブユニット。その代表の服部さんと一度ゆっくり話をしたいと思っていたので、丁度いい機会です。 先日、dddの方と服部さんが僕の事務所に集合して、近くのレストランで食事をしながら打ち合わせをすることに。その際の会話がすでにトークショーのはじまりだったので、ここで、ちょっとさわりを紹介。

服部 : ここですか、三木さんの事務所。graf と同じ川沿いなのにぜんぜん見え方が違う。水辺が事務所と水平に繋がっているように感じる。
三木 : 『中之島公園』と目の前の『大川』と事務所の前の大きな木。川に、船が行き来して、何層かのレイヤーが重なっているようでしょ。全て借りものの景色だけど、ちょっと気持ちいい感じなんです。
服部 : すごくいい。仕事場も見せてもらっていいですか?
三木 : いいよ。grafのように木のぬくもりのある空間をつくりたかったんだけど、予算がなくって、ともかくシンプルに仕上げた白い箱だけど…。
服部 : わぁ、ここか。『良き隣人の法則』の本箱。(『良き隣人の法則』については、僕の以前のコラムで詳しく語っています。
スタッフに向かって「三木さん怖い?」と、質問しながら3階へ。
三木 : この本箱の奥が全て仕上がった作品のファィリングシステムになっていて、地下の倉庫と繋がっているの。情報の整理整頓というか、インフォメーションデザインを徹底してるんですよ。上手く考えているでしょ。
服部 : すごくいい。いま、grafも空間に少し手を入れようと思ってるんだけど。これいいなぁ。何もしていないようで、全てデザインされてる。
三木 : ちなみに、これアスクルで買った棚、丈夫でリーズナブル。
服部 : いや、棚の側面に情報が入るように溝が切ってある。コンテンツを入れる訳か。本棚の奥がファィリングスペースなんだ。
三木 : 4階へ行く?
服部 : ギャ、ここ何?
三木 : 何も使ってない。ただの白い箱。
服部 : 三木さん、ここ借りてdddとは別の話がしたい。いま、デザインやアートのことなどサロン的に話す場をつくろうとしていて…。ともかく、いろいろと相談にのってくれませんか…。
三木 : うん、いいけど。地下の倉庫も見る?
服部 : 見る、見る。(服部さん、興味津々のご様子。)
服部 : その前に、この階段、屋上に繋がってる。
三木 : うん。
服部 : 見たい。
「すげぇ」。このビル高速道路の横にへばりついてる。なのに全然うるさくない。
三木 : そろそろ、地下へ行こうか。
服部 : うん。
三木 : これが、さっきの3階のファイリングできる棚と繋がっている地下。日々、資料が増えて全然整理が出来ないんだけど、ダンボールに白い紙でインデックスをつくっただけの簡易なファイリングシステム。
服部 : これ、かっこいい。ちょっと、grafの改築にヒントもらえた。
三木 : こういう整理の仕方って、デザインでしょ。
服部 : うん、まさにデザイン。(この整理の仕方の話は、僕のコラム『まずは、倉庫へどうぞ』で詳しく紹介しています。
服部 : ところで、三木さん、grafどう思われます?
三木 : どうって、すごい頑張ってると思うけど…。
さっきの改築の話でいったら、以前のgrafのビルの方が僕は好きだったなぁ。
服部 : えぇ。
三木 : 以前のgrafって、家具の工房が1階にあったじゃない。職人仕事の制作現場をちらっと見ながら、上にあがるとショップがあって、さらに上のカフェで川をのんびり見ながらお茶をする感じが『良質な暮らし』を体現していて、すごく雰囲気あったように思うな。横の階段のタイルが素敵でアプローチがあれしかないのも良かった。垂直に空間が積み上げられているんだけど、何か、grafの目指してる「暮らし」に対する思想が横に繋がっていく感じがして、僕の目には、grafの理念が可視化されて映っていた。
つまり、ビルは垂直なんだけど、思想は、水平に広がっている感じ。
いまは、grafが大きくなってカフェが2階に下がって一回からオープンにアプローチができるようになり、隣のビルにもgrafが増殖され、すぐ近くの横の面に家具の工房が独立して立っている。間違いなく水平に繋がったんだけど、前の方が横に繋がってる感じが僕にはするな。なんなんだろう。ギュッと、凝縮されてたような感じ。こんな内容、dddじゃ話せないよね。
服部 : いや、いいっすよ。dddでも、どんどんいってください。すごく嬉しいですよ。
三木 : ところで、どうするトークショー。何か、あまり準備しないで今みたいにアドリブで話していても、ぜんぜん話つきないと思うんだけど。まさか、僕の作品をgrafの展覧会で見せる訳にもいかないしね。
服部 : ぜんぜん。と、いうかぜひ、見せてください。
三木 : う〜ん。変でしょ。
服部 : 僕たちのこともいいけど、三木さんの話をもっと聞きたい。
三木 : そういわれても…。例えばこんなのどう?以前に名古屋のヴィジュアローグというデザイン会議のプレイベントで、テニスの審判が使う高い椅子にスピーカーが座って会話するの。オーディエンスは、話が進む度に首が右へ行ったり、左へ行ったり、まさに会話というボールでラリーが続く感じがおもしろかったけど。
服部 : それ、無茶苦茶おもしろい。でも、スライドやって。
三木 : えぇ〜。grafの展覧会なのに。うーん。どうしよう?

さて、さて、この続きは3月6日の土曜日、午後4:00から。お楽しみにね…。


日時 : 2010年3月6日(土)4:00-5:30p.m.
出演 : 三木健×服部滋樹(graf)
会場 : 〒550-8508 大阪市西区南堀江1-17-28 なんばSSビル
入場無料 要予約 定員70名
●参加ご希望の方はdddギャラリー(tel.06.6110.4635)までお申込みください。