KenMiki & Associates

直感。「ビビビッ」。「好きだ」。「話したい」。

11月と12月の2日間、Graphic Design in Japan 2010の選考会に出席しました。今年度より選考システムが変わり、投票で選ばれた40名の選考委員が今年20名と来年20名に別れます。僕は今年の選考チーム。よって来年はお休み。その20名がまた10名づつに別れ、それぞれのカテゴリーに区分された応募作品を選考します。
僕達のチームは、ポスター部門とパッケージ部門とブック部門の3つのカテゴリーを担当します。応募総数が2,837点。そのうちポスター部門の応募が963点。パッケージ部門の応募が175点。ブック部門の応募が271点です。ポスターは、6層に重ねられていて体育館ぐらいの大きな会場にところ狭しと並べられています。その周りを10名の選考委員がぐるぐる歩き回りながら気に入った作品にチップを入れていきます。
「厳しいっ!」。なかなかチップが入りません。半分の選考委員が入選と思いチップを入れたポスターは20%にもおよびません。そんな中でも思わず立ち止まり引き込まれていく作品があります。何なんでしょう。たくさん伝えたい事の中から一番大切な言葉をポンッと差し出すポスター。言葉すら語らないけど、黙礼のように目と目で話すようなポスター。「なるほど。座布団一枚」といった腑に落ちるポスター。感覚的だけど理屈なくかっこいいポスター。不思議、見たことない、といった強い個性でサプライズを与えてくれるポスター。懐かしいのに、どこか新しいポスター。小声だけど確かな言葉に思わず耳をダンボにしてしまうポスター。おおらかでゆったりとした気分にさせてくれるポスター。創りすぎないナチュラルでかざらないポスター。時代に左右されない真っすぐなポスター。
これらの「ポスター」の部分を「人」に置き換えてみるとその魅力が分かってきます。それぞれの個性が明解で、その人らしく生きていて、自分の言葉で語っている人。よく似た人は、ぼやけてしまう。空気を読めない人は、うっとおしい。理屈ばかりの人は、つまらない。僕がチップを入れる基準は、この人と話してみたいと思えるようなポスター。
論理的じゃないけど、僕の心が一瞬に判断する。
直感。「ビビビッ」。「好きだ」。「話したい」。