KenMiki & Associates

天に生きる生命

韓国のHongiku Univ.(弘益大学)での講演の後、グラフィックデザイナーでタイポグラファーのAhn Sang-Soo(アン・サン・スー)さんと食事に出かけました。
デザートを食べながら話が佳境になった時です。彼が胸に付けていたバッジをはずし、僕にプレゼントをしてくれました。ここに掲載しているGIFアニメは、その時のアンさんの話を元に僕が帰国後、創ったもので実際のバッジでは動いていません。と、いうか動いていたら「かっこいい」と思い、勝手にコラボレーションをしたものです。
アンさんによるとこのシンボルマークは、「朝と夜が循環する空間『地球』に、『人』・『動物』・『鳥』・『魚』・『木』が繋がっていて、それぞれの生命の尊さとその属性を表しており、平和な社会をメッセージするいわば反核のPEACEマークと同様の意味なんです」とのことです。ちなみにアンさんとの会話は、アンさんの堪能な日本語と僕の片言の英語を交えながらです。言葉に詰まった時は、漢字と絵でコミュニケーションをとっていきます。その時の会話の様子をみなさんにもご覧いただこうと掲載したのが下の写真。
食べかけのデザートのナフキンに書かれたメモ、ちょっと行儀が悪いですが、話のライブ感がお届けできるのではないかと思います。意味と形を表す表意文字のようなシンボルマーク。森羅万象を表現しているようにも映ります。コンセプトの組み立て方。デザインの展開方法。どこか、僕の発想の仕方と通じるところがあるように感じます。部分と全体を行き来しながらコンセプトを探る。その関係性の中からデザインを見つける。そして物語が広がる。ナフキンに描かれたPEACEマークとアンさんのマークを比較してみると、僕の目には、アンさんのシンボルマークにアジアの思想が入っているように映ります。
「人」、「生命」、「平和」、「共生」、「共存」、「地球」、「宇宙」、「混沌」、「陰陽」、「持続」などなど。いくつものキーワードが浮かんできます。そして、プリミティブな表現がより根源的な叫びとなってメッセージを届けてきます。そんな会話をしている時に、アンさんが思い立ったように自分のノートを取り出しメモをはじめます。横から覗くと「天に生きる生命」と書かれています。アンさん曰く「いい言葉です」。
「天に生きる」。なんか、大きな器の中で僕たちが生かされているようなイメージが広がってきます。アンさん、「いい言葉といいシンボル」。ありがとうございました。