KenMiki & Associates

僕の本気に火がつく

韓国、ソウルからのコラム第二弾です。
Hongik Univ.(弘益大学)での講演の翌日、ACA(アジア・クリエイティブ・アカデミー)で夕方より講演を行いました。内容は、Hongik Univ.の講演をベースに2時間バージョンに拡大したものです。聴衆は、ACAのメンバーに一般が加わりHongik Univ.の時と比べると年齢層が上がっています。20代前半から30代後半ぐらいのデザイナーらしき方々です。みなさんメモをとりながら熱心に聴いています。Hongik Univ.での講演の後ということもあり逐次通訳との話の間(ま)がつかめリズミカルになったように思います。話にも膨らみが出てきているようにも感じます。また、聴衆の真剣度が増すにつれ話に熱が入ってきます。
講演後、次の日の朝から僕のワークショップに参加する20数名の学生を集めて、事前に知らせていた課題の進行状況を簡単にチェックして明日に控えます。どうも、日本にいる時から「ゴホン、ゴホン」と咳き込んでいた体調が講演の緊張から解放されホッとしたのか、ちょっと悪化しているように思えます。宿舎に着くなりすぐに床(とこ)に就きますが体が温もってくると、咳がどんどんひどくなります。熱はないのですが朝まで咳き込んで寝ては起きての繰り返しで体がかったるい感じです。しかし、そんなことは言ってられません。ACAは、韓国の文化庁の支援を受け、日本、中国、韓国の3つの国の数多くのデザイナーが毎週のように招聘され、講演とワークショップを繰り返し行っている民間の大学院のような機関です。そこに来る学生は、若いプロのデザイナーやクリエイターが中心で金曜日の夜から日曜のお昼まで休みを返上して参加しており、真剣度が違います。翌日のワークショップは、マンツーマン(通訳者が入りますが…)で、コンセプトのアドバイス、ストーリーの膨らませ方、デザインのジャンプ力といった内容で彼らに気づきを与えていきます。全ての学生にアドバイスが終わると、僕の脳は、まるでウニのような感覚で今にもとろけそうです。それから数時間後、彼らは僕のアドバイスを参考にクラスメイトのACAの学生と僕に対して途中プロセスをプレゼンテーションします。他人のプレゼン内容を聴きながら、それぞれの学生の中に闘志が芽生えていく感じが伝わってきます。ここに掲載の写真は,講演中の僕とワークショップでの彼らの途中プロセスのプレゼン風景です。
最終のプレゼンテーションは、日曜日のお昼から。ほとんどの学生が、ほぼ徹夜状態で課題を仕上げて来るそうです。そんな白熱したワークショップですから、僕の本気に火がついていきます。何かを学びたいという情熱にすごいエネルギーが漲っています。そのエネルギーへのリターンに僕のデザイン経験の渾身の力でアドバイスをします。疲労困憊とはこのこと。久しぶりに気持ちのいい疲れです。今日は、お昼の最終プレゼンの講評までに少し時間の余裕があります。朝から韓国のサウナであかすりを体験してこようと思います。リフレッシュした体で彼らのプレゼンを聴くためです。帰国は、今日の最終便。ACAでの僕の課題に真剣に取り組んでくれたみなさん、最終プレゼンを楽しみにしています。そして、通訳から食事まで何から何までお世話になったACAジェネラルディレクターの金(キム)さんありがとうございました。